飼い主さんと一緒にいないと、精神的や肉体的にも辛くなってしまう分離不安症。
分離不安の背景にはさまざまあり、単に性格の問題だからと放置すると、悪化してしまう可能性があるでしょう。
この記事では、分離不安になりやすい犬種や、ならないためのトレーニング方法を解説します。
愛犬の心身の健康のために、ぜひ参考にしてください。
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分離不安になりやすい犬種
実は本能的に分離不安になりやすい犬種がいます。
一般的にさみしがり屋で分離不安になりやすい犬種は、トイプードル・ラブラドルレトリバー・オーストラリアンシェパード・ジャーマンシェパードです。
独りの時間があっても比較的問題ない犬種は、ボストンテリア・フレンチブルドッグ・チワワが挙げられます。
留守番させる時間や、愛犬の世話や散歩に充てられる時間によって、犬種を選ぶのがおすすめです。
ただし、ライフスタイルに合わせて犬種を選んでも個体差があるため、全ての犬にとって飼い主さんとのスキンシップや愛情が必要であると知っておきましょう。
分離不安になりやすい犬の特徴
分離不安になりやすい犬は、次の3つ特徴があります。
育てられた環境や背景が関わってくるため、今後の関わり方をより良くするためにも知っておくと良いでしょう。
トラウマを抱えている犬
過去に何らかのトラウマを抱えている犬は、分離不安になりやすいでしょう。
例えば、飼い主さんから世話をしてもらえなかった、捨てられた、愛情を受けられなかったなどの問題を抱えていると考えられます。
独りでいる時間に、地震や落雷などの怖い思いをした経験も、分離不安につながるでしょう。
過去のトラウマによって、飼い主さんから離れるだけでも、不安や恐怖を感じてしまっているのです。
しつけをしすぎてしまっている犬
しつけをしすぎてしまった犬も、飼い主さんの指示でしか行動できなくなるため、分離不安になりやすいでしょう。
過剰なしつけは愛犬の行動に制限をかけてしまいます。
例えば、愛犬自身が飼い主さんの指示でコントロールされないと動けなかったり、顔色を見たりと、服従するしか選択肢がないのです。
過度にしつけをしてしまわず、飼い主さんが適度に居なくても大丈夫なようにする必要があるでしょう。
甘えん坊な性格の犬
犬種を問わず、もともと甘えん坊な性格の犬は分離不安になりやすいでしょう。
小型犬のような体が小さくて臆病な犬や寂しがりやな犬も、飼い主に甘えて密に関わるのが好きなため、離れられなくなる傾向があります。
甘やかしすぎると分離不安が増すため、適度に構ってあげると良いでしょう。
飼い主が溺愛しすぎている犬
飼い主さんが溺愛しすぎて、過剰に愛情を受けている犬は、分離不安になりやすいでしょう。
溺愛して飼い主さんと一緒に過ごす時間が過剰にあると、独りで過ごす時間に不安を感じてしまいます。
同じ空間にいる時も、適度に愛犬の独りの時間を作り、慣れさせてあげる必要があります。
愛情のかけ方に注意して関わる必要があるでしょう。
分離不安症の犬に見られる症状【チェックリスト】
分離不安症になっているのではと心配な飼い主さんは、次の5つの症状があるかチェックしてみましょう。
- 留守番中に「破壊」や「荒らす」などの行動が見られる
- 留守番から帰宅した時にお漏らしをしてしまう
- 飼い主が外出しようとすると落ち着かなくなる
- 留守番している時に吠えてしまう
- 飼い主の外出を止めようとする
一つでも当てはまれば、分離不安症の可能性があるため、よく愛犬の様子を観察してみましょう。
留守番中に「破壊」や「荒らす」などの行動が見られる
留守番中に物を破壊したり、ゴミ箱をひっくり返したりと、部屋を荒らすような行動が見られたら、分離不安症の可能性があります。
これまで留守番が平気だったのに、急に部屋を荒らし、留守番中だけいたずらするのも、愛犬の分離不安症のサインです。
自分のおもちゃ以外の物や、トイレシーツ・スリッパなどいつもはいじらない物を、荒らしたり壊したりしていないか、チェックしましょう。
留守番から帰宅した時にお漏らしをしてしまう
留守番から飼い主さんが帰宅した時にお漏らしをしてしまうのは、分離不安症の可能性があります。
普段はトイレで用を足せるのに、嬉しくて興奮してしまい、お漏らし(うれしょん)をしてしまう状態です。
うれしょんは子犬によくありますが、成犬でも続くようであれば、精神的に不安定になっており、飼い主さんへの依存も考えられるため注意が必要です。
飼い主が外出しようとすると落ち着かなくなる
飼い主さんが外出しようとすると、不安な気持ちが高まり落ち着かなくなる犬は、分離不安症の可能性があります。
外出すると気が付いたタイミングで、部屋を訳もなく歩き回ったり、同じ場所をぐるぐると回ったりと、そわそわしてしまうのです。
外出前は準備で忙しいかもしれませんが、愛犬の様子をチェックしてみましょう。
留守番している時に吠えてしまう
留守番している時に吠えてしまうのは、分離不安症の可能性があります。
飼い主さんが扉を出るタイミングや、鞄を持つタイミングなど、留守番をすると気が付いた時から吠えてしまうのです。
何とか引き止めたいという心理で吠えてしまうため、分離不安症の可能性があるといえるでしょう。
飼い主の外出を止めようとする
飼い主さんの外出を止める行動があれば、分離不安症の可能性があります。
例えば、出かけると気付いた途端に飼い主さんの服を引っ張ったり、扉の前に座り込んだりと、外へ出られないようにしてしまうのです。
引き止められると可愛らしく感じますが、分離不安症の可能性があるため、留守番させる時の愛犬の行動をチェックしてみましょう。
犬を分離不安症にさせないためにすべきトレーニング
犬を分離不安症にさせないために、次の4つのトレーニングをしていくと良いでしょう。
「離れる」ことに徐々に慣れさせていく
まずは、飼い主さんと離れることに徐々に慣れさせていくのがおすすめです。
突然長時間離れるのは、分離不安症が悪化する恐れがあるため、短い時間で適度な距離感から始めてみましょう。
例えば、顔が見えるくらいの距離がとれるように、台所やベランダなどの愛犬が入れないスペースを決めます。
飼い主さんが台所にいて、愛犬がそばに行けなくても安心できるようにして慣らしていくと良いです。
次第に、愛犬と離れる距離や時間を伸ばしていきましょう。
何気ないように外出する
留守番だと身構えてしまうため、何気なく外出してみると良いでしょう。
留守番は愛犬にとって辛いものですが、慣れてもらうためには留守番時に興奮させないようにする必要があります。
愛犬にとって留守番が負担とならないように、わざわざ声をかけてアクションせず、何気なく外出してみましょう。
専門家(トレーナーや獣医師)に相談する
犬の専門家(トレーナーや獣医師)に相談し、愛犬に合った改善方法を教えてもらうと良いでしょう。
対策をいろいろ行っても、効果がなかったり悪化したりと改善が見られない場合は、アプローチ方法が愛犬に合っていない可能性があります。
病気が関係していて内服薬で改善されるケースもあるため、専門家に相談してみると良いでしょう。
運動時間を増やす
運動時間を増やして疲れた分、お昼寝時間が増えて留守番中もゆっくりと休める可能性があります。
一緒に遊ぶと心も満たしつつ、適度に疲労感を与えられるので心地よくお昼寝できるでしょう。
留守番前に愛犬とたっぷり運動して、ゆっくり休めるようにしてあげると良いですね。
犬といつも一緒に寝ると分離不安症になる恐れがある
犬といつも一緒に寝ると、より離れるのが辛く、分離不安症になる恐れがあります。
寝る時は無防備な状態のため、飼い主さんと寝ると犬にとっては安心です。
ただ、子犬期から一緒に寝る時間が多いと精神的に不安定になりやすいでしょう。
飼い主さんへ依存して分離不安症にならないためにも、いつも一緒に眠らないように注意が必要です。
まとめ
分離不安症は、飼い主さんと離れるだけで精神的にも肉体的にも弱り、問題行動をおこしてしまうため、愛犬にとっても飼い主さんにとっても辛いでしょう。
分離不安を軽減するためには、日頃の関わり方を見直す必要があります。
この記事で紹介した、少しずつ愛犬と距離をとる方法や、睡眠を留守番時間にとらせる方法などに取り組んでみましょう。
また、あらゆる対処法を行っても改善されない場合は、専門家に相談してください。
分離不安症が軽減され、愛犬も飼い主さんも安心して過ごせるようになれば幸いです。